結成30周年を記念して作られた注目のアルバム
人間の声と身体だけを使った超絶技巧のヴォーカル・ミュージック
質の高い音楽を追求し続けた真摯な姿勢が30年に亘る輝かしい実績を生んだ
その集大成として厳選された珠玉の21曲が納められた決定盤!
ザ・リアル・グループは1984年に結成され、スウェーデンのアカペラ・ヴォーカル・グループとして30年に亘って世界をリードし続けてきた。ザ・リアル・グループという「グループ」として破格の待遇でストックホルム王立音楽院の大学院で磨きをかけ、卒業コンサートはノーベル賞の授与式で有名なストックホルム・コンサートホールに開演前から人々が2重3重の輪を作ったという逸話を残している。この30年の間に発表したCDは17枚。その活動は北欧各国のみならず、ヨーロッパ各国、アメリカ、カナダ、南アフリカ、そしてアジアでは韓国、台湾、日本でコンサート活動を続け大きな成功と人気を集めている。2015年は結成30周年記念コンサートを世界各国で行ない、6月に来日する予定だ。
この30周年記念アルバムのタイトルは「Three Decades Of Vocal Music」。単にアカペラ・コーラスとは呼ばずにアカペラ・ヴォーカルであると自らを紹介してきたが、このタイトルの「ヴォーカル・ミュージック」という表現に30年に亘って人間の声と身体から出る音のみで作られた音楽を追求し続けた主張が込められている。
このアルバムにはオリジナルメンバーの時代の作品から、これまでコンサートでは人気が高かったがアルバムに収録されていなかった楽曲などを含め彼等が厳選した21曲が納められている。今は亡き音楽評論家の黒田恭一さんが「超絶技巧を駆使しながらも、暖かくて、深くて、上品な歌唱をきかせてくれるグループ」とライナーノーツで紹介されたが、まさにザ・リアル・グループの質の高いレベルの音楽が30年に亘って不変である事に驚かされる。またアルバムにはデビュー当時の写真など多くの未公開の写真が納められているのもファンにとって嬉しいプレゼントとなっている。
2015年のコンサート・ツアーを最後にバス担当のアンダーシュ・ヤルケウスがグループから引退する。アカペラ界で世界一のバスと謳われるスウェーデン合唱界の重鎮の引退は非常にさびしいが、メンバー交代の度に新たな方向性を打ち出してきた彼等。これからの活躍を大いに期待したい。