【ライナーノーツ抜粋】
この数年、人気上昇中のビバップ・ピアニスト、ホッド・オブライエンのスタジオ録音による最新ピアノ・トリオ作『センチになって』が届いた。ベースのレイ・ドラモンド、ドラムのケニー・ワシントンという強力メンバーを従えたレギュラー・トリオによる録音で、ジャズの名曲を取りあげてグルービーな楽しいセッションを展開する、すこぶるゴキゲンなビバップ・アルバムである。オブライエンの人気が高まる中、ジャストなタイミングで登場する最新作といえる。
ホッド・オブライエンは、味わいのあるシンプルなピアノ・プレイで魅了する。彼の簡潔な表現の中にはビバップ、そしてジャズという音楽の魅力が凝縮されている。オブライエンのころがるような軽快なタッチはビバップの独特な味わいがある。ビバップ・ピアノといえば、創始者バド・パウエルを筆頭にデューク・ジョーダンやバリー・ハリスなどを第一人者として思い浮かべるが、ブラック系である彼らのアーシー&ブルージーな演奏とは異なり、白人のオブライエンはエレガントな洗練されたテイストが魅力になっているように思える。
高井 信成
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