【ライナーノーツ抜粋1】
ハワイ諸島、ビッグ・アイランド生まれの"なごみ系音楽"コハラが日本盤として紹介されてから、早いものでもう1年。
最初のアルバム「コハラ」のライナーノーツ等で、彼らの音楽を"風のような音楽"と表現させていただいたが、この風、さらに爽やかさを増して、再び日本に吹いてきた。
コハラの音楽が誕生したのは、今から4年前のこと。「ハワイの音楽といえば、ハワイアン」「ハワイ音楽に付き物なのがウクレレ」というステレオタイプのイメージを覆す、アコースティック・ギター3本によるユニットだった。スラック・キー・ギターも使わず、あくまでも緩やかに、爽やかに、その独特の世界を作り上げているコハラの音楽は、我々の心にすーっと入ってきて、あっという間になじんでしまった。もう、この音楽なしでは都会で生きていけない、というニーズに応えるかのごとく、ハワイでのデビューと3年のギャップがあったにも関わらず、次々と日本番が紹介され、4年のブランクはすぐに埋まってしまった。さて、そうなると、次回作に期待する声、待ち望む声が多くなっていくのはやむを得ないだろう。そして2002年6月。その欲求は満たされることになる。
「バック・トゥ・コハラBACK TO KOHALA」。
これがコハラの5作目で、正真正銘の新録音による新作のタイトルである。このタイトルには、デビュー当時の"海から吹く風のような音楽"を忠実に表現しようというメンバーの意気込みの表れだと思う。デビュー後4年、ハワイのメジャーなポップ・ソングのカバーもやった。
ハワイのマエストロたちとのコラボーレーションも実現した。
ハワイの愛唱歌も数多く取り上げた。そして新しい作品を発表するに当たって、コハラの3人が目指したのが、オリジナル作品を中心にした新しいコハラ・クラシックスの創造だったのかもしれない。3曲あるうちのカバー楽曲のうち、ビーチ・ボーイズの隠れた名曲「太陽の暖かさ」に至っては、その自然なアレンジで、まるでコハラのオリジナル楽曲のようだが、有名な曲をコハラ流にアレンジして聞かせる段階は、もう終わったと言わんばかりに、「バック・トゥ・コハラ」ではメンバーが作曲した素晴らしく、素敵なオリジナル楽曲がたくさん詰まっている。すなわち、ここに吹いている風は、どれも新しい風なのだ。自然に吹く風は、いつも表情が違う。それは風を感じる我々人間の状態を写すからなのだが、コハラのこの新作に触れて、今年の夏はいつもニコニコしていられるように、心穏やかに、爽やかに過ごしていきたいとつくづく思った次第である。
村上 太一