現代のJ&Kがスライディング・ハマーズである。しかしスライディング・ハマーズの凄いところはＪ＆Ｋグループの枠にとどまらないことである。J&Kを敬愛しているがしかしJ&K風には決して演奏していない。では誰風かと言えば「自分たち風」である。さらに特筆したいのは彼女達のソロである。ソロが実にメロディアスなのだ。私はメロディアスなソロをもって最上のソロとみなす人間だが彼女たちを聴いているとこういうメロディーを吹きたいんだな、頭に充満しているんだなということがよくわかるのである。そこのところがよくわからないミュージシャンというのが作今は特に一杯いるのである。ソロのメロディーを追ってゆける。これはリスナーにとってジャズを聴く上でも大きな喜びである。彼女たちはそれを大きく与えてくれるのだ。うれしいではないか。
最後に相変わらずピアノがいい。このピアニストのお手のものであるきらきらとしたタッチとフレーズ。今回もとっくりと楽しませてもらった。
寺島 靖国
