【ライナーノーツ抜粋】
今回は、デンマークのコペンハーゲンへ飛び、同地在住のジャズ・ドラムの巨匠エド・シグペン、デンマークの人気ベーシスト、イエスパー・ボディルセンを迎えてレコーディングされた。シグペンは、“ザ・トリオ”と呼ばれた黄金時代のオスカー・ピーターソン・トリオのレギュラー・メンバー。1972年からコペンハーゲンに移住。それ以来、ヨーロッパのジャズ・シーンの重鎮として活躍している。ブラシ・ワークの巧みさは至芸というべきもので、ここでもブラシでマティアスから名プレイを引き出している。
マティアスは理想的な共演者を得たといえるのではないだろうか。マティアスのピアノはリリカルでハートウォーム。そして、演奏を聴けば明白のように、ロマンティストでもある。技巧に走ることも、難解でマニアックになることもない。そんなマティアスの魅力が十分に引き出されたアルバムであり、メンバー、選曲も素晴らしく、近年の欧州ピアノ・ブームの中でも、代表的な１枚に数えられる人気作になりそうな気がする。
高井 信成
